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家づくり初心者講座Lecture

住宅仕様・間取り編

2013.04.02

断熱性・気密性と空気の流れについて


注文住宅に長く心地よく快適に過ごすための要素として、「断熱性」と「気密性」、「空気の流れ」があげられます。断熱性と気密性の相乗効果によって、暑さや寒さなどの外的要因から家を守り、快適な室温に保つことができます。良い空気の流れをつくることは、そこに住む人と住まいの健康に関わります。注文住宅の「断熱性」と「気密性」、「空気の流れ」をつくる工事は、一般的に外装工事や内装工事を行うときに一緒に施されます。


断熱性

断熱性とは、暑さや寒さなどの”熱”が移動するのを、どれくらい抑えることができるかを表わす性能です。断熱の方法は、断熱材を柱と柱の間に埋め込むように入れる「内断熱(充填断熱)」と、柱の外側に断熱材をつめ、全体を断熱材で覆う「外断熱(外張り断熱)」があります。木造では「内断熱」が多く、日本では一般的です。鉄筋やRC造では「外断熱」が多いです。

断熱する主な部位は、屋根面または天井、外壁面、床面です。ただし使用しなければならない部位や材料の性能は、平成11年3月に国土交通省・経済産業省が告示した「次世代省エネ基準」によって地域ごとに詳しく定められています。また、使用する目的や注文住宅の構造、施工業者さんによっても様々なものが使い分けられます。

 

断熱材の材料
1.無機繊維系

ガラスなどのリサイクル製品が多く、形状はフェルト状、ボード状、綿状があります。

 

グラスウール
線状のガラス繊維で、安価で燃えにくく、白アリがつきにくいことがメリットですが、水分・湿気に弱く結露対策が必要です。
ロックウール
玄武岩(げんぶがん)など岩石を繊維状にしたもので、軽く、耐久性や耐火性、吸音性があります。性能や価格はグラスウールとほぼ同等ですが、耐水性はグラスウールよりやや高めです。
2.木質繊維系

健康や環境に優しいのが魅力ですが、断熱材によっては割高になることもあります。

 

セルロースファイバー
新聞古紙が主原料で、古新聞を粉砕し綿状にしたリサイクルエコロジー製品です。木質繊維の特徴である吸放湿性が良いので、気密シートがなくても結露の心配がありません。吸音性にも優れ、防虫効果もあります。
インシュレーションボード
別名、軟質繊維板ともいわれ、木材チップなどの繊維を固めたボード状の断熱材です。多孔質で軽く、断熱性・吸音性が高く、吸湿性もありますが水分に弱いのがデメリットです。
3.プラスチック系

気泡が独立した状態になっていて、中に空気を封じ込めるため、耐水性と断熱性は高いですが、石油化学製品であるため健康や環境面で影響を及ぼす場合もあります。発砲スチロールのような見た目で、断熱材の形状はボード状のものと現場で直接吹き付けるものがあります。

  • ・ウレタンフォーム
  • ・ポリスチレンフォーム
  • ・フェノールフォーム

気密性

注文住宅の気密性能とは、涼しさや暖かさが外部に漏れない、外部の暑さや寒さが中に入ってこないなど空気の出入りがない性能をいいます。つまり、どの程度注文住宅に隙間があるかということです。

気密性を高めるために使用される主な建材
  1. 1.住宅用プラスチック系防湿フィルム
  2. 2.ブチルゴム系やアスファルト系の防湿性を持つ気密テープ、気密パッキン材
  3. 3.構造材や下地材に使用されている木材を乾燥した状態に保つための乾燥材

 

これらの建材を、窓や扉などの開口部、屋根面または天井、外壁面、床面に使用し気密性を高めます。


注文住宅の空気の流れについて

注文住宅の空気の流れは、3つあります。人の健康を目的に行う室内空気の入れ換えを行う「換気」、注文住宅の耐久性を増すために床・壁・天井裏などから空気の入れ換えを行う「通気」、窓や戸を開けたときに風を通り抜けさせる「通風」です。「通風」は、体感温度を下げるなど住まいの心地よさに関わります。最近の注文住宅は、「換気」や「通気」を行っても、暑さや寒さが移動しない工夫が施されています。

 

換気

シックハウス症候群や健康促進の対策として、平成15年から建築基準法の改正に基づき、すべての新築住宅に24時間換気システムの導入が義務付けられました。24時間換気の換気形式には大きく分けて3タイプあります。

 

換気の種類

・第一種換気 給気・排気ともに機械やシステムによってコントロールする。
・第二種換気 給気は機械やシステムを使用してコントロールし、排気は排気口から自然に行う。
・第三種換気

給気は給気口から自然に行い、排気は機械やシステムによってコントロールする。

注文住宅では一般的に、第一種換気もしくは第三種換気が採用され、第二種換気は病院の手術室、医療施設や工場などのクリーンルームなどに使用されています。第一種換気は、安定した計画換気が行えますが、第三種換気よりも初期費用とランニングコストがかかります。

 

通気

注文住宅が水や湿気が原因で傷まないようにするため、床下、外壁、屋根裏の通気はとても大切です。木造では、給気口から外気を取り込み、壁体内の通気層を通し棟部分から排気する棟換気(むねかんき)と、棟換気を使用せず軒天(のきてん・屋根の外壁から出ている部分の裏側)から排気する方法があります。鉄筋やRC造では、外断熱材に通気層を確保する外断熱通気工法システムが採用されています。

断熱材や気密性能がどう施されているか、通気の排気口・通気層は、家が完成してからでは確認することができません。現場に見学へ行き、棟梁や大工さんとコミュニケーションをとりながら見せてもらうと良いでしょう。



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